ディーラー整備士を辞めようと決めた理由
給料・評価への不満が積み重なった
働いていたディーラーには明確な評価制度(ランク制)がありました。ランク3=主任、ランク4=係長というように、給与と役職がランクに紐づいていました。
自分なりに一生懸命働いていたつもりでしたが、なかなかランクが上がりませんでした。一方、同じ店舗の先輩はトントン拍子で昇格していった。
「同じ職場なのにこの差は何だろう」という不満が、少しずつ積み重なっていきました。
ただし当時は、給料や評価の不満が最終的な「辞める」決断の決め手ではありませんでした。あくまで背景にあったモヤモヤとして残っていました。
今振り返ると自分にも怠慢な部分があった
当時は「与えられた仕事はちゃんとやっている」と思っていました。でも実際の自分は、言われたことだけをこなして、自分から動こうとしていませんでした。
指示待ちの姿勢が当たり前になっていて、「これは自分の担当じゃない」と線を引いていた場面もありました。
評価されない不満が「これ以上頑張る意味があるのか」という気持ちにつながり、さらに動かなくなる悪循環に陥っていたのです。
上司や会社からすれば「指示通り動くだけの人」に見えていたはずです。今振り返ると、評価されなかったのは会社の問題だけではなく、自分の姿勢にも原因があったと素直に認められます。
他者貢献ができていなかったと気づいた
同僚や後輩との関係は良好で、お互いに助け合っていました。ただし「上司を支える」という視点はほとんどありませんでした。
上司も忙しく動いている人間ですが、その仕事を楽にする工夫や提案を自分からすることはありませんでした。
「ゴマスリは良くない」というイメージが強く、上司に近づくこと自体を避けていた面もあります。しかし振り返ると、ゴマスリと他者貢献は別物でした。
他者貢献とはこういうことです。
- 上司の仕事を理解して支える
- 困っているときに手を挙げる
- 自分から提案して動く
上司も人なので、支えてくれる部下を自然と評価します。当時の自分はこの視点が完全に抜けていたから、どれだけ仕事をしても評価につながらなかったのです。
上司からの伝え方ひとつで「頑張る気持ち」が壊れた瞬間
当時、自分は店舗リーダーを任されていました。役割の一部として、難しいクレーム対応も担当していました。
特に手のかかるクレーマーが一人いて、予約なしの突然来店でも最優先で対応するよう、上司から指示が出ていました。
ある日、いつものようにそのクレーマーが突然来店しました。自分はすでに他のお客様の作業を抱えていましたが、指示通り並行してその車両の作業も行いました。
忙しさの中、自分でも気づかないうっかりミスをしてしまいました。そのミスは本部にまで伝達され、後日、事例と再発防止のメールが全店舗に通達されました。
通達されたこと自体は組織として当然のこと。今振り返れば納得できます。問題は伝え方でした。
自分がその通達を知ったのは、休憩室の机にA4用紙が置かれていたのを偶然見たときでした。できれば上司から直接「こういう通達が出る」と一言伝えてほしかった。
その書面を見た瞬間、会社への気持ちが一気に崩れました。「自分は事例として処理される存在なんだ」と感じ、頑張るのがバカバカしくなり、辞めることを決めたのです。
後から振り返れば、これが本当の最終的な引き金でした。
辞めた直後にやったこと(失敗した転職活動)
ハローワークだけで動きエージェントを知らなかった
辞めると決めてから、まず向かったのはハローワークでした。周りで転職エージェントを使っている人を見たことがなかったからです。
そもそもエージェントが無料で使えることも、何をしてくれるのかも知りませんでした。
「整備士はもうやりたくない」という気持ちが強く、異業種転職だからエージェントは関係ないと思い込んでいました。
結果、自分一人でハローワークの求人だけを見ながら動きました。今思えば、この選択が後の苦労につながっていたのです。
異業種だから整備士経験は無関係と思い込んでいた
ハローワークで職務経歴書を書こうとして、最初から手が止まりました。「異業種に行くなら、整備士の経験を書いても仕方ない」と思い込んでいたからです。
でも、書く内容がないと職務経歴書は埋まりません。結局、整備士経験を最低限だけ書いて応募することになりました。
面接で「整備士の経験は今後どう活きますか?」と聞かれても、答えが用意できない状態でした。
後から知りましたが、整備士の経験は「機械を扱う・正確に作業する・安全意識」という形で異業種でも十分に評価される要素でした。
それを言語化できなかったのは、一人で動いていた自分の限界だったと思います。
1年経たずして製造業を退職した
正直に書きます。製造業で働いている方には失礼な表現も含まれますが、当時の自分の感覚として残しておきます。
入社前は「製造業は誰でもできる仕事」と捉えていました。でも実際は細かいルールが多く、息が詰まる感覚がありました。「簡単そう」というイメージで入ったことを後悔しました。
人間関係も大きなギャップでした。整備士時代は同僚と和気藹々と働いていましたが、新しい職場は「自分さえ良ければいい」という雰囲気で、どこか冷たく感じました。
3交代制も想像以上にきつかったです。入社前から制度自体は知っていましたが、実際に体験すると、体から明確にサインが出始めました。睡眠リズムが狂い、疲れが抜けなくなっていきました。
最も大きかったのは「達成感のなさ」です。製造業の自分の役割は、商品を作る工程の一部でしかありませんでした。全員で一つの商品を完成させる仕組みのため、自分が何をしたのかが見えにくい。
整備士時代は一台の車を、ほぼ自分一人で完成まで導いていました。「今日も自分の手で直した」という手応えがありました。その手応えが、製造業の仕事ではどうしても感じられませんでした。
気づけば「整備士に戻りたい」と思うようになっていました。1年経たずして、退職を決めたのです。
民間整備工場へ出戻りした
自分でネットで調べてエージェントの存在を初めて知った
製造業を辞めようと決めたとき、初めて気づいたことがあります。「ハローワークだけで動いた前回の失敗を繰り返したくない」ということでした。
そこで自分でネット検索を始めました。「整備士 転職」「転職 失敗 しない」などで調べる中で、初めて転職エージェントという存在を知りました。
しかも無料で使える、職務経歴書もサポートしてくれる。「これを最初から知っていれば、製造業の失敗は防げていたかもしれない」と心から思いました。
実際に1社、整備士特化型のエージェントに登録もしました。
同じタイミングで元上司から民間整備工場を紹介された
エージェントに登録した、ちょうどそのタイミングでした。ディーラー時代に別の店舗で一緒に働いた元上司から連絡が来ました。
「知り合いが民間整備工場をやっていて、人を募集している」
元上司本人がその工場で働いているわけではなく、社長が元上司の同級生という縁での紹介でした。つまり、自分を知っている元上司が、信頼できる社長との橋渡しをしてくれた形です。
話を聞いた瞬間、気持ちは即決でした。「これは縁だな」と素直に感じました。以前の自分を知っている人が、信頼できる先につないでくれたからです。
整備士に戻りたいという気持ちと、人とのつながりの安心感。この2つが重なって、迷う余地はありませんでした。
ただし、ここから本当の試練が待っていました。それは「今の職場を辞めると伝えること」でした。
1年未満で退職を伝える勇気が必要だった
気持ちは決まっていました。でも口に出すのが本当に難しかったです。
最大の不安は「すぐ辞めるやつ」と思われることでした。1年も経たずに退職を申し出ることへの負い目があり、上司や同僚にどう見られるか、頭から離れませんでした。
何日も悩みました。寝る前にも、車通勤の運転中でも考えていました。「今日言おう」と決めても、職場に着くと言い出せない。切り出すタイミングを常に探していました。
忙しいときは迷惑だろう、機嫌が悪い日は避けよう…結局、適切なタイミングなどなかったのです。
ある日、自分で覚悟を決めて声をかけました。伝えた瞬間に、自分の中で何かが軽くなったのを覚えています。
新しい職場で「整備士が嫌いじゃなかった」と気づいた
民間整備工場で働き始めてすぐ、強く実感したことがあります。整備士の仕事には、他の仕事にはない要素が2つありました。
一つ目は「自分のタイミングで作業を進められる自由」です。もちろん納期はあります。でも段取りや進め方は、自分の判断で組み立てられる。製造業では細かいルールに縛られて息が詰まりましたが、整備の現場ではその窮屈さがありませんでした。
二つ目は「積み上げてきた知識を活かして問題を解決できる手応え」です。トラブルの原因を診断し、自分の経験から仮説を立て、実際に直していく。このプロセスは整備士でなければ得られないものでした。
製造業では「決まった作業をこなす」ことが中心で、自分の知識が役に立つ場面はほとんどありませんでした。
この2つを取り戻した瞬間、心から実感しました。「自分は整備士の仕事が嫌いじゃなかった」と。嫌だったのは仕事ではなく、あの職場の環境だった。
このシンプルな事実に気づけたのは、辞めて回り道をして戻ってきたからでした。
他者貢献を意識する自分に変われた
正直に書きます。「他者貢献」という考え方を意識するようになったのは、実はYouTubeで学んだからです。
製造業を辞めて、自分を見つめ直す時間ができました。その中で自己啓発系の動画を観るようになり、「他者貢献」という言葉に出会いました。ディーラー時代は「言われたことだけやる」姿勢だったと、過去の自分を振り返るきっかけになったのです。
他者貢献を意識するとは、自分にとってこういうことでした。
- 上司の仕事を理解して支える
- 困っている同僚に自分から手を貸す
- 誰かの役に立つことを意図的に選んで動く
民間整備工場ではこの考え方を実践に移しました。気づけば「指示待ち」ではなく「自分から動く」自分になっていました。
結果として、上司や社長から信頼してもらえるようになり、給料も人間関係も自然と好転していきました。
大事なことを書きます。知識として知るだけでは何も変わらない。実践に移してこそ、評価は自然とついてくる。
整備士の仕事は変わらないのに、自分の姿勢が変わるだけで、こんなに見える景色が違うのかと驚きました。
辞めてよかったと心から思える理由
自分の働き方に納得感が生まれた
最近になって特に強く思うことがあります。同じ整備士でも、ディーラーと民間ではこんなに違うのか、と。
ディーラー時代は分単位で忙しく動いていました。予約は常に詰まり、その合間にも待ち作業が次々と入る。気づけば一日が瞬く間に過ぎていく感覚でした。
民間整備工場に転職してからは、待ち作業がほとんどありません。予約された作業を、自分のペースで丁寧に進められる。慌ただしく働く必要がないだけで、心の余裕がまったく違います。
もちろんすべての民間整備工場がそうとは限りません。でも今勤めている会社では残業がない。「一日の終わりが毎日見える」
このありがたさは、ディーラー時代には想像もできませんでした。整備の仕事は変わらないのに、働き方の質はこんなにも変わる。この納得感を取り戻せたのは、環境を変えたからでした。
家族との時間が増えた
転職してから、家族との時間が大きく変わりました。
一つ目は「休日に家族で出かけられるようになったこと」です。ディーラー時代は平日休みでした。妻と子どもは土日祝が休みなので、休みが噛み合わない。「家族で出かける」という当たり前のことができませんでした。
今は日曜祝日が休みなので、家族と同じリズムで動けます。遠出も予定を立てられるし、子どもの行事にも合わせられる。
二つ目は「家のことを手伝えるようになったこと」です。ディーラー時代は朝早く出て夜遅く帰る毎日でした。妻は気づけばずっと家事も育児も一人で回していました。いわゆるワンオペ状態です。
正直、当時の自分はそれに対する申し訳なさが薄かったのです。
転職して残業がなくなり、休みも家族と合うようになりました。少しずつですが、家のことに手が出せるようになってきました。完璧にはほど遠いですが、ワンオペ状態を解消する方向に動けているという実感はあります。
整備士の仕事は、家族との時間を犠牲にしやすい。でも働く環境を変えれば、その関係は取り戻せる。これは収入や役職よりも、ずっと大きな価値だと、今は心から思えます。
辞めて後悔したこと・気づいたこと
ディーラーの研修・設備・年収は恵まれていた
民間整備工場で働き始めて、ディーラー時代を振り返ると「あの環境は当たり前じゃなかった」と気づくことが3つあります。
一つ目は「常に最新の車に触れられたこと」です。ディーラーには発売されたばかりの新型車が次々と入庫します。最新の電子制御、ハイブリッド、EV、運転支援システム。これらに最前線で触れられる環境は、整備士のキャリアにとって何より価値がありました。
民間に来てからは、街を走る既存車の整備が中心になり、最新技術に触れる機会は明らかに減りました。
二つ目は「設備投資の違い」です。ディーラーには専用診断機・特殊工具・最新リフトなど、必要な設備が惜しみなく揃っていました。民間でも一通りの設備はありますが、最新のものとは限りません。「あの設備があれば一発で診断できたのに」と感じる場面もあります。
三つ目は「年収の現実」です。ディーラーは残業も多いですが、その分の収入もあります。残業代まで含めれば、年収はディーラーの方が高かったです。民間に転職して残業がなくなった分、額面上の年収は下がりました。
もちろん時間と健康を取り戻したと考えれば納得していますが、「お金」という側面だけ見れば、ディーラーは恵まれていました。
どちらが正解という話ではありません。自分が何を優先するかで、選ぶべき職場は変わります。ただ、ディーラーで働いている間は気づきにくい価値が確かにあるということは、伝えておきたいのです。
あの遠回りは無駄ではなかった
正直に言えば、製造業への転職は失敗でした。きちんと準備していれば、エージェントを使っていれば、あの遠回りは避けられたかもしれません。
1年未満で辞めることになった申し訳なさも残っています。
でも、今振り返ってこう思います。「あの遠回りは、自分にとって必要な経験だった」と。
遠回りしたから気づけたことが3つあります。
一つ目は「整備士の仕事が、自分は嫌いじゃなかった」ということです。異業種に出てみて初めて、整備士という仕事の良さに気づきました。もしディーラーから直接民間に行っていたら、「整備士は変わらないんだな」と物足りなく感じた可能性もあります。
二つ目は「自分自身を見つめ直す時間が持てた」ことです。製造業で働きながら、自分の過去の働き方を振り返りました。他者貢献という考え方に出会えたのも、この時期でした。もしすぐ次の職場に飛び込んでいたら、振り返る余裕はなかったでしょう。
三つ目は「人とのつながりの大切さを実感した」ことです。元上司が紹介してくれたから、今の職場があります。回り道をしたからこそ、その縁のありがたみが沁みました。
遠回りそのものは、できれば避けたかった。でも遠回りした自分にしか得られなかったものがあった。このブログを書いている自分も、その経験の延長線上にいます。
辞めるか迷っているディーラー整備士へ
「職場が嫌」と「整備士が嫌」は分けて考える
このブログを書いている自分が、一番伝えたいことです。
ディーラー時代の自分は「整備士を辞めたい」と思っていました。だから異業種に飛び込んだ。でも製造業で働いてみて、ようやく気づいたのです。
本当に嫌だったのは「整備士という仕事」ではなく「あの職場の環境」だけだった、と。
整備の仕事そのものには、自分には合っていました。自分のペースで作業できる自由、知識を活かして問題を解決する手応え、一台を完成まで導く達成感。これらは整備士にしか味わえないものでした。
もし今、辞めたいと思っているなら、まず自分に問いかけてほしいのです。
「整備の仕事そのものが嫌なのか」「今の職場が嫌なだけなのか」
もし職場が嫌なだけなら、同業種内での転職で十分に解決できる可能性があります。自分のように異業種へ飛び込んで遠回りしなくて済むのです。
この見極めだけで、その後の人生は大きく変わります。
辞める前に自分の心と対話する時間を取る
ディーラー時代の自分を振り返ると、感情で動いていました。「もう無理」「辞めたい」という気持ちだけで判断していました。
でも本当に必要だったのは、自分の心と向き合う時間でした。
自分は何が嫌なのか。自分は何を求めているのか。お金なのか、時間なのか、やりがいなのか、人間関係なのか。
これを言葉にできるまで、焦って動かなくていいのです。むしろ焦って動くと、自分の場合のように遠回りすることになります。
自分の心と対話する方法は色々あります。
一つは紙に書き出すことです。「自分は何が嫌か」「自分は何があれば満足できるか」。手を動かして書くと、頭の中が整理されていきます。
もう一つは、AIに話しかけてみることです。最近はChatGPTのような対話型AIが誰でも使えます。自分の悩みを文章にして相談すると、AIが質問を返してくれて、自分の考えが深まっていきます。誰にも気を使わず、何度でも壁打ちできるのが利点です。
どちらでもいい。大事なのは「立ち止まって自分と向き合う時間を取ること」です。
転職活動はリスクゼロ・先に動いて損はない
最後に、強く伝えたいことがあります。
転職することにはリスクがあります。でも転職活動はほぼリスクゼロです。
エージェントへの登録は無料。職場には誰にも知られずに進められる。話を聞いて、気が変わればやめてもいい。
「辞める」と「動き出す」は別物です。動き出すことで、初めて自分の市場価値や選択肢が見えてくる。そこから「やっぱり今の職場で頑張る」という選択をしてもいいのです。
動くこと自体が、自分の人生を取り戻す第一歩になります。
先に動いて、損をすることは何もない。これは遠回りした自分が一番強く伝えたいメッセージです。
まとめ
ここまで読んでくれた方へ。
自分はディーラー整備士を辞めて、異業種に飛び込んで、1年経たずに整備士に戻ってきました。
遠回りでした。でもその遠回りがあったから、今こうしてあなたに書けています。
この記事で伝えたかったことは、2つだけです。
ひとつ目は「辞める前に、自分の気持ちを整理してほしい」ということ。
自分は感情で動きました。「もう無理」という気持ちだけで決めてしまいました。だから製造業で詰まり、遠回りしました。
焦って動くより、自分が何に困っているのか、何を求めているのかを言葉にする時間を取ってほしいのです。
ふたつ目は「整備士の仕事自体は、嫌いになる必要はない」ということ。
ディーラー時代、自分は「整備士を辞めたい」と思い込んでいました。でも本当に嫌だったのは、あの職場の環境でした。
整備の仕事には、他の仕事にはない自由と達成感があります。それを一度手放してから、ようやく気づきました。
もし今あなたが「辞めたい」と思っているなら、こう問いかけてみてください。
「整備の仕事自体が嫌なのか?」「今の職場が嫌なだけなのか?」
その答えで、選ぶべき道は大きく変わります。そしてどちらの答えでも、動き出していい理由になります。


コメント